パーキンソン病センターこのページを印刷する - パーキンソン病センター

チーム医療:薬剤部

薬剤部

パーキンソン病の治療に使われるお薬は患者さんの状態や病状により種類や服用回数に調節が必要で、病状のコントロールのためには、お薬を正しく継続的に服用していくことが必要です。パーキンソン病センターでは、薬剤師が係わることで服薬の負担を減らし、より効果的なお薬の使用を目指します。

パーキンソン病のお薬ってどんなもの?

パーキンソン病の治療薬の例をいくつか挙げると以下のような種類があります。

種類薬の効果
ドパミン含有製剤脳内のドパミンを補充し、体の動きを改善する。
ドパミンアゴニストドパミンと同じ受容体に結び付き、体の動きを改善する。
COMT阻害薬血液中でドパミン含有製剤が分解されるのを防いでくれる。
MAO-B阻害剤脳内でのドパミンの分解を抑えてくれる。
ドパミン遊離促進薬脳内でのドパミンの放出を助けてくれる。
アデノシンA2受容体拮抗薬体の動きを低下させるGABAの働きを抑える
これらのお薬が個人の症状に合わせて処方されています。リハビリ入院をすることで、1日の生活のリズムや症状の現れ方を見ながら薬剤治療を進めることが可能です。

**注意点**

  1. お薬は症状を改善するために服用しますが、場合によってはお薬でよくない症状が出ることがあります。急に内服をやめると高熱や体がかたくなることもあるので、自己判断での中断はしないでください。
    例)嘔気、眠気、幻覚、足のむくみ、病的賭博、性行動亢進、買い物依存、腰が曲がる、過食、ジスキネジアなど
  2. ドパミン含有製剤
    レボドパにより二つの大切な栄養素が減少することがあり気をつけましょう。一つは亜鉛でお薬の成分が体内の亜鉛と結合し排泄されるため、低亜鉛血症に注意が必要です。最近口内炎が多い、味覚が変化したなどありましたらご相談ください。もう一つはビタミンB12の低下です。しびれなどの感覚障害がみられないか注意しましょう。認知面にも影響をおよぼすことがあります。
  3. MAO-B阻害剤(商品名:エフピー、アジレクト、エクフィナ)
    併用できないお薬があるので確認します。
  4. 貼付剤
    貼り付けた時に皮膚に密着するように手のひらでしばらく押さえておきましょう。皮膚がかぶれることがあれば、保湿剤やステロイドの塗り薬を使用すると良い場合があります。貼る場所は肩などの脂肪組織の少ない場所が良いでしょう。
  5. 便秘薬 酸化マグネシウム
    パーキンソン病の薬の効果を弱める事があるので注意しましょう。

お薬の飲み合わせは大丈夫?

  • 薬の種類が多すぎる
  • こんな市販薬やサプリメントも飲んでいるけど大丈夫?

お薬には同時に服用することで互いに効果を打ち消し合うものや、逆に効果が高くなりすぎて副作用が出てしまう組み合わせがあります。いくつかの先生にかかっているとお薬の種類が多くなっていることがあります。お薬を整理し、必要があれば変更することでなるべく種類が少なくできないか相談しましょう。

お薬を飲むのが大変な時

  • 嚥下機能が落ちて薬が飲みにくい
  • 1日の服用タイミングが多くて飲み忘れることがある

こんなふうに思われている方は、お薬の種類を変えることで服薬が楽になります。錠剤を小さなものに変える。1日に1度飲めば24時間効果のあるものに変える、貼り薬に変える等の対応をとることで服薬の負担を軽くする事ができるかもしれません。

生活のリズムに合わせた処方で快適に

  • 朝の準備に時間がかかるから、もう少し動けるようにしたい
  • 昼間は調子が良いけど、夕方から思うように動けない
  • 夜間の動きが悪く、しっかり寝られない

生活のリズムや症状の現れやすい時間は個人によって違う事も多いため、それぞれの生活に合わせた薬剤を使用することで、生活の“もう少しこうなって欲しい”を実現することができます。これらの情報源として、入院生活でのスタッフによる評価だけでなくご自身で記録していただく「パーキンソン病の症状日誌」も利用しています。

服薬の豆知識を知ろう

  • 薬は変わっていないのに、調子が悪い。最近始めた便秘薬の影響かも?
  • 食事内容で、薬の効きが変わってくる

ドパミン含有製剤は食事後に飲むと効果が弱くなることがあり、食前に飲んだほうが良いことがあります。しかし食後よりも効果の持続時間は短くなる傾向があります。

ドパミン含有製剤はレモン水と一緒に飲むと効果が強くなることがあります。逆にバナナと一緒に飲むと効果が弱まることがあります。

薬剤部では、患者さんへの服薬の指導を通して患者さんにご自身が服用しているお薬について知っていただき、適切な服用と副作用予防するための情報提供でサポートを行っていきたいと考えています。お薬のことで疑問に思うことがございましたらお気軽にご相談ください。
変動する症状やお薬の効果を先生にうまく伝えるために「パーキンソン病日誌」をご利用いただきたいと思います。ご希望の方に提供しておりますのでご相談ください。

<参考>「パーキンソン病と付き合いながら薬科大学の学長として過ごした6年間」(北河修治先生)