パーキンソン病センター
チーム医療:栄養管理部
パーキンソン病において栄養は「食べるくすり」と考え、まず考える治療ととらえています。パーキンソン病は特別な食事制限は必要ありませんが、重症度や症状に合わせて栄養管理や食事の内容をかえ対応していくことが重要です。
栄養や食事の重要性
発症前からの神経保護の可能性
地中海食のような食事が神経によい影響を与えることが注目されています。魚などからの良い脂質や野菜、果物、カフェインなどはよいといわれています。発症前の早期からの栄養管理が重要と考えられています。
リハビリを行っている時期は、リハビリに適した栄養補給が重要
リハビリは筋力低下を防ぎ、移動や入浴、食事などの動作の維持や向上のために行われます。しかし、リハビリに必要な栄養が補給されなければ、体重減少や筋肉量が減少してしまいます。必要な栄養を補給することが、筋肉量の維持や運動機能の向上につながります。
薬剤、特にレボドパを使用している時期は、薬剤の食事への影響を考慮
お薬の中には、味覚障害に関係する亜鉛の排泄を増し、長期服用で亜鉛が不足することがあります。また、ビタミンB12が低下していることがあり、注意が必要です。薬の影響や過不足を考慮し、栄養や食事をとることが大切です。
進行期は加齢やサルコペニア(加齢に伴う骨格筋量と骨格筋肉の低下)に対しての栄養が必要
進行期は加齢による体重減少やサルコペニアが生じやすくなります。また、摂食・嚥下障害(かむ力や飲み込む力が弱くなる障害)を生じていることもあります。体重減少やサルコペニアの進行を防ぐために、嚥下障害に配慮しながらバランスのよい食事をすることが重要です。
当院のパーキンソン病の栄養管理
パーキンソン病は多くの患者さんに下記の症状が見られます。
- 体重減少
- 摂食・嚥下障害(かむ力や飲み込む力が弱くなる障害)
- 便秘 など
当院ではこれらの症状に対して、様々なサポートを行っています。 |
体重管理
患者様の栄養状態の評価を定期的に行い、体重維持に努めています。
- 病状やリハビリの活動量に応じた食事や経腸栄養剤の提供
- 栄養補給をするゼリーやドリンクの付加
摂食・嚥下障害に対して
料理を食べやすい大きさに調整した食事をお出ししています。
便秘に対して
便通改善につながる食品をお出ししています。
また、水分摂取を促しています。
個人栄養食事指導(入院および外来患者様、ご家族様)
管理栄養士が個別に栄養食事指導を行っています。
- 栄養バランスのとり方
- 体重維持のための食事の仕方
- 家庭での料理の形態調整の仕方
- 便秘予防の食事
- 市販とろみ剤、栄養補助食品等の紹介、提案 など
パーキンソン病教室〈栄養編〉(入院患者様、ご家族様)
パーキンソン病についてみんなで学ぶ教室を行っています。〈栄養編〉パーキンソン病の食事のポイントと便通改善のヒント