パーキンソン病センターこのページを印刷する - パーキンソン病センター

パーキンソン病の治療

おくすりには、飲むくすり(薬剤)、食べるくすり(栄養)、うごくくすり(リハビリ)、支えるくすり(家族や周りの方)の4つがあり、これらが治療のキーになり、進行とともに脳深部刺激療法やLドパ持続経腸療法などの治療も検討されます。まず第一に大切なのは、栄養です。レボドパのお薬で亜鉛やビタミンB12が減少することがありますので注意しましょう。 → 栄養管理部薬剤部

パーキンソン病とわかれば、いつからでもリハビリテーションを始めましょう。リハビリはいつの時期でも必要であり、時期に応じた内容を考えます。リハビリテーションを行うことで、病気の進行を遅らせ、薬の使用量が多くなることを少しでも遅くすることが期待できます。体を動かすことで、身体と脳全体の両方に良い影響を与え、身体の動きだけではなく、パーキンソン病にみられる動き以外の様々な症状を改善させます。リハビリテーションは少しでもよいので続けることが重要です。
ストレッチ、筋力トレーニング、心肺機能を高める運動、バランス運動をくみあわせます。何も考えずに動くのではなく、意識した動きを行いましょう。自分では動かしているつもりでも動きが小さくなっていることが多く、鏡や人に見てもらいながら動きや姿勢を確認することも必要です。 → リハビリテーション部

リハビリテーションと薬は自転車の両輪です。どのようなリハビリテーションをしたらよいかなど、お困りの際は当院にご相談ください。
お薬も必ず必要になり、症状を改善させるのになくてはならないものです。内服の内容や量が変わった際に体調が変わること(嘔気、食欲不振、下肢のむくみ、幻覚、眠気、ジスキネジア、すくみ足の悪化など)があれば、担当医や薬剤師や看護師などに遠慮なく相談ください。 → 薬剤部

症状の進行・ヘーンとヤールの重症度分類・治療法:イメージ

経過の長い病気で、10年を過ぎるといろいろお薬の内服の工夫が必要になってきます。お薬の効いている時間が短くなる「ウェアリングオフ」や、お薬の作用で体がくねくねと動く「ジスキネジア」等がおこることがあります。そうなるとお薬の内容をかえたり、内服の回数を増やすことを考えます。
リハビリとお薬の治療を行っていても、生活への支障が目立つようになると、脳深部刺激療法(DBS)やLドパ持続経腸療法(LCIG)が有効な方もおられます。

手術や医療機器を使った治療開発・いろんなお薬の開発:イメージ

脳深部刺激療法DBS

2000年から保険適応となり、これまで日本では1万人以上に行われてきました。脳に埋め込むリード電極、胸に固定するバッテリー内蔵型刺激発生装置からなり、5年前後で電池交換が必要です。
最近は充電式のバッテリーも出ております。基本的に効果が期待できるのはレボドパのお薬で効果がある症状になります。また、ジスキネジアを軽減する効果も期待できます。

年齢は70~75歳までの方が対象です。認知機能障害や姿勢異常、すくみ足などには効果がなく、構音障害や認知機能障害を悪化させることがあります。比較的安全な手術ですが、まれに出血や感染などの合併症をきたすことがあります。当院では臨床工学技士により、電池残量や設定条件を確認することができます。

脳深部刺激療法DBSのイメージ(出典:ボストン・サイエンティフィックHPより)

Lドパ持続経腸療法(LCIG)

2016年から保険適応になり、これまで日本では800人以上に行われてきました。胃ろう造設の手術を行い、小腸までチューブを入れます。お薬は小腸で吸収されますから、直接小腸にお薬を入れるこの治療は非常に理にかなった治療になります。お薬を口から飲んでも胃の動きが悪く、小腸に移動しないと効果が出ません。お薬は飲んでも効果がない場合はお薬が小腸まで移動していないことがあるかもしれません。

飲み薬のレボドパは効果が長続きしません。この治療は胃ろうからカセットに入ったゲル状のおくすり(デュオドーパ®)をポンプで持続的に注入するため、効果が持続します。カセット・ポンプを日中は常時身に着けておかなければなりません。カセット・ポンプは約500gほどの重さです。胃ろう部の皮膚のただれやポンプのトラブル、チューブの先端が移動したり絡まったりするトラブルが起こることがあります。

Lドパ持続経腸療法(LCIG)のイメージ(アッヴィ合同会社HPのイラスト集より)

日常生活で気を付けること

パーキンソン病では糖尿病のように食事制限もありませんし、高血圧で塩分を控えることもありません。日常生活で制限されることがない病気なのです。むしろ、体重が減らないようにしっかりとバランスよく食事を摂取し、水分・塩分をとることが大切です。水分不足は便秘になりやすくなり、腎機能の低下からお薬の副作用が出やすくなったり、立ちくらみをしやすくなることにつながります。活動的な生活を心がけ、積極的にご自身で日々のリハビリテーションに取り組むことがとても大切です。

パーキンソン病の医療費

パーキンソン病は国の指定難病の対象疾患になっていますが、症状が軽いと対象にはなりません。ヤールの分類の3度以上、生活機能障害度の2度以上が対象です。歩行に支障がでることがあれば、担当の医師や地域医療連携室に相談しましょう。医療費の補助が受けられます。
また、ヤールの1、2度の段階であっても、軽症高額に該当する場合があり、地域医療連携室の医療ソーシャルワーカーに聞いてみましょう。お薬は高額なものが多く、2か月以上の間隔での受診では当てはまる方もおられるかもしれません。 → 地域医療連携室